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四人家族の我が家の鍵は、三つ。

鍵を持つのは主に、父と母と妹で、
(なぜか)昔から私は持ち歩かない習慣となっている。
・・・おそらく、失くす可能性が高いからだろう。

そして父と母の持つ鍵は、
門の鍵や、お勝手口の鍵と一緒に
ひとつのキーカバーにまとめられてる。


話は変わるが、
最寄り駅から家までは徒歩20分と微妙な距離のため、
帰りが遅いときは主に母が車で迎えに来てくれたりする。

車の中では無言。
ありがとうも、最近は言ってなかった。

家に着くと母は家の鍵をかばんから取り出し、私に渡す。

母はよく鍵を渡すのに手間取って、
遅いと、私はいらいらして、
「早くしてよ。」とせかしたりもする。

私は無言で鍵を受け取り、車を出る。
そして、鍵を、開ける。

そんな生活が続いていた。







しかし先日、珍しく父が迎えにきてくれた。
母は具合が悪いとのことだった。

いつもと同じように家に着き、
父に鍵を渡され、
車を降りて、玄関へ。



「・・・?」

鍵を開けようとして、
違和感を感じた。

鍵が、カバーの中に入っていた。
カバーを開き、鍵を取り出さなくてはならなかった。

それは、私の日常にはない行動だった。






鍵を開けながら、私はどきどきしていた。

もしかしたら、もしかしたら。。。



急いで家に駆け込み、
鍵置き場にある母の鍵を確認する。
私の知っている母の鍵は、
カバーから玄関の鍵だけ出ていて、
だからそれが普通の状態だと思っていた。
いつも、母がそうしているだけだと思っていた。
でも、でも、もしかしたら。





鍵は、カバーの中に入っていた。
当たり前の話だ。









母は、私に鍵を渡す際に、
早く開けられるようにと
玄関の鍵だけをカバーから出していてくれた。

疲れて帰ってきた私が、

少しでも早くお風呂に入って、

少しでも早く眠れるように。


予め用意ができていないときには、
渡す前に出していて、手間取っていた。







昨日、また母に迎えに来てもらった。
ただいまとだけ言って車に入り込んだ。
車内はいつもと同じように無言だった。
でも、私の心持は違った。

駐車場の前で車が停止し、
母がかばんから鍵を取り出す。
鍵はカバーの中にしまわれており、
母は、急いでカバーを開き、
玄関の鍵だけ取り出した。


「急がなくていいよ。」


搾り出した言葉はそれだった。
自分が情けなかったけど、
母は笑って、

「寒いから早くお風呂に入りな。」

と言った。

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